料理は相手のことを大切に思っていると伝えるコミュニケーションツール
大好きな映画のひとつに「初恋のきた道」と言う名作があって、田舎の少女が都会から来た青年に恋をし、言葉にできない想いを料理で伝えようとする、少女の一途な思いと健気さに心打たれる作品です。
もう25年近く前の作品ですが、心揺さぶられた瞬間の映像を今でも鮮明におぼえています。
華北の美しい村に、ある日都会から若い教師がやってくる。彼に恋心を抱いた少女。彼女は言葉にできない想いを料理で伝えようとする。そんな想いが彼に届くが、時代の波が押し寄せ、ふたりは離ればなれに…。
出典:Filmarks(https://filmarks.com/movies/32996)
人は言葉のかわりに
何かにたくして想いを伝える
お花だったり、茶菓子だったり、何かを贈る時にはそこには想いが込められていると思いますが、往々にして言葉で伝えるよりも、その気持ちは相手に深く伝わったりするものですよね。
そう言えば、私はデザイナーやクリエイティブディレクターだった20代はメールの署名に必ず
+++Design for Communication
と言う一文を入れていていて、これは「私はデザインを通して社会とコミュニケーションを図る」と言う想いを込めたものでした。
社会に出たての20代は本当に話すことが苦手で(今も基本的に話すのは苦手)クライアントや同僚へ、デザインを通して自分の意思や、あなたに貢献したいんですよと言う気持ちを伝えていました。
人は言葉のかわりに、何かにたくして想いを伝える生き物で、そして受け取る側もそのたくされた想いの真意を感じ取る力がある。
この非言語的なコミュニケーションが成り立つって、改めて考えるとすごいことだなぁと思います。
料理は相手のことを大切に思っていると伝えるコミュニケーションツール
話を料理に戻すと、料理こそ、この非言語的なコミュニケーションの最たるものだと思っていて、映画「初恋のきた道」は料理を通して言葉にできない想いを伝えようとする様が、まさに非言語的で、だからこそ心に訴える作品なんじゃないかなと考えます。
繰り返される毎日の料理も
メッセージの積み重ねだった
映画の世界だけでなく、家庭で毎日毎日作られる料理も、根本的に相手のことを大切に想っていると言うメッセージが込められているもの。
繰り返されるせわしない日々の中で、料理を作っている側もなんとなくそんな想いがあることを忘れがちだし、食べる側も当たり前のものとして感謝の気持ちを忘れてしまう。
でも、ある意味無意識に、毎日繰り返し繰り返し、料理を通して「あなたのことを想っています」ということを伝えているということ、それを受け取っているということって、実はすごいことなんじゃないかと思ったというお話でした。